「魔界のプリンス」レイドは何者?
レイドの肩書き、「魔界のプリンス」つまり日本語に訳すと「魔界の王子様」、これまたたいそうな肩書きだ。本当に王子でないとすれば、こんな自称が許されるのであろうか?
考えてみよう。一般庶民が、いや、非常に偉い人であっても、例えば「俺は日本の王子様だ」「俺は人間界の王子様だ」とか名乗ることが、許されるのかどうか? 「日本の王子様」を名乗れるのは皇族だけだ。「人間界の王子様」を名乗れる人は世界中どこにもいない。
で、レイドは「魔界の王子様」なのである。それなりの理由がなくこんな肩書きを使用したら、ギリが怒るだろう、と思わないだろうか?
もちろん、例えばギリが魔界の美青年コンテストみたいなのに参加して優勝した経験でもあるとか、レイドが魔界一のの大金持ちだとかなら、それを理由に「魔界のプリンス」だと名乗ることもありえるかもしれない。しかし、残念ながら物語中、レイドは全くもてていないようである。(世の中にはレイドファンが沢山いるけど、少なくとも物語中は)特に裕福でもないようだ。モンクがいなくなった後、新しい執事すら付いていないし。少なくとも個人的な能力、才能、美貌などによって「プリンス」と呼ばれる筋合いはない。
レイドがやっていることといえば、沢山お金をつぎ込んで変なメカを開発して、しかもやられているだけである。これぞ王族にふさわしい単なる道楽息子!ではないか。最近は魔法も使ってないし、あんまり頭も使ってない。そんなに取り柄のないレイドが「プリンス」と呼ばれ、カヤにまで『レイド様』と呼ばせているのである。
ここまでの結論。レイドは血筋的に(つまり本来の意味で)誰かのプリンスなのだ。
…何がいいたいのか? ここまで読むと、先走る人は「わかった、レイドはギリの息子だと言いたいんだろう!」と思うだろう。
残念でした。違います。レイドはグルグル暦で1298年生まれである。が、魔王ギリは1010年以降、1310年までの長きに渡り、ず〜〜っと封印されていたのである。さすがに無理があるだろう。大体レイドはギリのことを「お父様」などとは呼んでいないのだから、息子であるわけがない。
ギリの息子ではないが、プリンスではある…。ほーら、何かが見えてきたでしょ?
そもそも魔界とは、普通想像するほどに混沌とした場所ではないらしい。アラハビカやチュールを見ても明らかなように、魔物達はそれなりの、もしかしたら人間界並みの秩序をもって、結構平和にやっているのが見て取れる。8巻でククリが覗いたような完全に混沌とした魔界というのも存在するのかもしれないが、たいていの場合は魔界とは「魔物が平和に暮らしている場所」と考えて差し支えないだろう。
と、なると、ギリが封印されていた300年の間、魔界に誰もリーダーがいないのは、おかしいんではありませんこと?…というわけである。
こういう見方もできる。ギリは300年もの間を置いて、いきなり復活し、瞬く間にほとんど全部の魔物を配下においてしまった。これもある意味不自然ではないだろうか。仮にも「魔物」である。別の奴の部下になって従う、などということは、習慣になっていない限りできないだろう。300年もの間魔界にボス的存在がいなかったのなら、いきなりギリが現れて魔物を支配しようとしたときに、ちょっとは反抗するはずである。それが普通の魔物(?)というものだ。
つまり、ここから浮かび上がってくる構図、それは『魔王ギリの復活による、魔界におけるボスの交代』である。魔王が封印されていた300年の間、魔界には別の王がいたのである。そして、レイドはその息子だった。
ということは、レイドの父親は魔王ギリの復活によって魔界の王の座を奪われたことになる。…ということは、レイドは実は魔王ギリをうらんでいるかもしれない…
うーん、推理を働かすといろんなことが見えてきますね。(こういうのを邪推というんだって)